頻度 あまりみない
治療のポイント
・コルチゾール過剰による症候を解除することが治療の目的である.
・責任病変の外科的切除による根治が望ましいが,根治が難しい場合,コルチゾール過剰の是正と合併症のコントロールが治療目標となる.
◆病態と診断
A病態
・コルチゾール過剰により,脂肪の分布変化と蓄積,筋肉など蛋白の異化亢進,結合組織の脆弱化,インスリン感受性低下,Na貯留とK喪失,昇圧ホルモンの作用増強,凝固能亢進,易感染性などが起こり,特異的症候(満月様顔貌,中心性肥満,水牛様脂肪沈着,伸展性赤色皮膚線条,皮膚の菲薄化,皮下溢血,近位筋萎縮)や非特異的症候(高血圧,耐糖能異常,骨粗鬆症,浮腫,精神症状,血栓症,日和見感染など)を呈する.
・原因としては,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の自律分泌によるACTH依存性〔下垂体腺腫,異所性ACTH産生腫瘍(肺小細胞癌・カルチノイド・膵神経内分泌腫瘍など)〕,コルチゾールの自律分泌によるACTH非依存性〔副腎皮質腺腫,副腎癌,両側性大結節性副腎皮質過形成(BMAH:bilateral macronodular adrenal hyperplasia)など〕,ステロイド製剤による薬剤性に大別される.
B診断
・前記の特異的・非特異的症候から疑う.
・コルチゾールが高値で,ACTHが正常~高値であればACTH依存性,ACTHが抑制されていればACTH非依存性が疑われる.
・少量デキサメタゾン抑制試験に対する抑制の欠如,日内変動の消失(深夜のコルチゾール高値),蓄尿遊離コルチゾール高値などにより診断される.
・画像診断には下垂体性では下垂体造影MRI,副腎性では腹部CT/MRI,ヨウ化メチルノルコレステロール(131I)を用いたシンチなどが行われる.下垂体性か異所性か明らかでない場合は,選択的静脈洞血サンプリングも行われる.異所性ACTH産生腫瘍では,責任病変の