頻度 あまりみない
GL膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン2019年(第2版)
治療のポイント
・基本的に外科手術が第1選択であるが,遠隔転移がある低分化型は薬物療法を先行させる.
・発症年齢の中央値が50歳代と若く,高分化型で5~10年生存を目指す場合は,長期的な視点で多彩な治療方法からそのときに最適な選択をしていく必要があるため,専門施設における治療が望ましい.
・遠隔転移例あるいは切除不能例は薬物療法を行うが,肝転移の場合は症例によって手術を選択する.
・低分化型の非切除例はきわめて予後不良であるため,薬物療法を導入する.
◆病態と診断
A病態
・膵,消化管,肺,気管支など全身の組織から発生し,肝転移,骨転移,リンパ節転移,下大静脈/門脈腫瘍塞栓をきたす.
・原発部位によって予後が異なる.膵原発の5年生存率は約40%である.
・膵・消化管原発は,肝転移の重症度が予後を決定する.
・膵原発では,インスリノーマ,ガストリノーマなどのホルモンを産生する(→,「インスリノーマ,膵消化管ホルモン産生腫瘍」の項参照).
・カルチノイド症候群は造影検査,麻酔,手術,ストレスなどを契機にクライシス(気管支れん縮,著明な血圧低下,心停止など)をきたす(→,「インスリノーマ,膵消化管ホルモン産生腫瘍」の項参照).
・非機能性腫瘍であっても,機能性の転移巣を生じることがある.
B診断
・非機能性腫瘍の局在診断は消化管内視鏡,腹部超音波,CT,MRI,超音波内視鏡,ソマトスタチン受容体シンチグラフィなどを行う.
・画像上の典型像(多血性単純結節型)は約50%で,非典型像(非単純結節型,嚢胞変性型などで,主膵管閉塞や乏血を伴うこともある)が約50%を占めるため,生検による病理診断は必須である.特に乏血性は膵癌と鑑別が難しい.
・消化管原発は内視鏡下,膵原発は超音波内視鏡下生検(EUS-FNA),肺や気管支は気管支
関連リンク
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