頻度 ときどきみる~よくみる(女性:高齢者の割合が増えている)
頻度 あまりみない(男性:女性の1%)
GL乳癌診療ガイドライン2022年版
ニュートピックス
・再発高リスク乳癌において,複数の薬剤が周術期治療薬として適応拡大承認となった.
・化学療法歴を有するHER2低発現の転移・再発乳癌に,抗HER2薬が適応拡大承認となった.
治療のポイント
・臨床病期,グレード,生物学的特性(ER,PgR,Ki67,HER2)をもとにしたサブタイプ分類,多遺伝子アッセイ,BRCA病的バリアント,PD-L1発現の有無を評価し,手術療法,薬物療法,放射線療法を行う.
・早期乳癌は根治を目指す.転移・再発乳癌は根治が困難であり,QOLの維持・改善,生存期間の延長を治療目標とする.
◆病態と診断
A病態
・乳癌は多くが乳管上皮より発生し,非浸潤癌,微小浸潤癌,浸潤癌およびPaget病に大別される.多くは腫瘤を形成するが,腫瘤を形成しない場合もある.
B診断
・問診:月経の有無,妊娠・分娩歴,家族歴を聴取する.
・視触診:腫瘤の占拠部位,大きさ,可動性,乳頭異常分泌の有無,領域リンパ節の腫脹,周囲組織への固定の有無などを観察する.
・画像診断:マンモグラフィ(MMG),超音波(US)にて腫瘤,石灰化,構築の乱れの有無,乳管内進展の程度,腋窩リンパ節転移の有無を診断する.造影MRIにて術前広がり診断や術前化学療法の効果判定,CTもしくはPET-CTにて転移検索を行う.
・病理学的診断:乳腺病変に対してはUSもしくはMMGガイド下に組織生検を行う.腋窩リンパ節に対してはUSガイド下に穿刺吸引細胞診を行う.
◆治療方針
A早期乳癌(Stage 0~ⅢA)
局所療法(手術療法,放射線療法)と潜在的な微小癌の根絶を目標に薬物療法を行う.
1.局所療法
a.乳房
病変の広がり,整容性の保持,放射線療法の適応,患者の意向を踏まえ,乳房部分切除術も