頻度 ときどきみる(乳管内乳頭腫)
頻度 あまりみない(葉状腫瘍)
頻度 ときどきみる(女性化乳房症)
GL乳癌診療ガイドライン 2022年版
治療のポイント
・乳管内乳頭腫:乳頭分泌や乳房腫瘤などのありふれた自覚症状が初発症状であり,乳癌と臨床症状のみでの鑑別は困難である.腫瘤を形成しなくても,非浸潤性乳管癌がすでに発生している場合があり,自覚・他覚症状のみでの判断は危険である.適切な画像・病理診断ができる医療機関への紹介が推奨される.
・葉状腫瘍:急速に増大する比較的境界明瞭な腫瘤で,専門医へのコンサルトが必要である.
・女性化乳房症:一過性の場合が多数を占めるが,乳癌との鑑別を要するものがあるので増大傾向,不整な腫瘤の場合は専門医へのコンサルトが推奨される.
◆病態と診断
A乳管内乳頭腫
・30~50歳代の女性に多いとされている.乳管内上皮の増殖性病変であり,乳頭分泌(透明もしくは血性)や腫瘤形成をきたす.
・診断はマンモグラフィ,超音波検査で存在部位の診断,形状の評価を行い,必要に応じて分泌物細胞診,穿刺吸引細胞診,針生検(組織診)を行う.しかし,この疾患は過形成から非浸潤性乳管癌に及ぶ乳管内病変スペクトラムに含まれ,針生検による組織標本でも正確な診断が困難な場合がある.そのような場合は病変全体による評価が必要となり,切除生検が必要となる.
B葉状腫瘍
・30~50歳代の女性にみられることが多く,急速に増大する比較的平滑な腫瘤として認められる.
・針生検により診断するが,線維腺腫(→,「線維腺腫」の項参照)との鑑別が困難な場合があり,増大傾向が急速な場合は切除が診断の観点からも推奨される.
C女性化乳房症
・乳児期と思春期にみられる男性乳房の腫大は生理的なもので,通常は1~2年内に消退する.老年期に生じるものも一過性のものが多数を占める.発生機序はアンドロゲン作用の低下またはエストロゲン作用の亢進