診療支援
治療

食物アレルギー・食物関連アレルギー
food allergy・food related allergy
鈴木慎太郎
(昭和大学内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 准教授)

頻度 よくみる

GL食物アレルギー診療ガイドライン2021

GL食物アレルギーの診療の手引き2020

ニュートピックス

・花粉症食物アレルギー症候群(PFAS:pollen food allergy syndrome)の症例の診療頻度が増えてきている.

・乳幼児~小児期に発症した食物アレルギーが寛解せず思春期~若年成人(移行期)まで持ち越す症例が目立つようになっており,その診療の受け皿が不足している.

治療のポイント

・成人患者では誘因が必ずしも食物そのものによるIgE依存性の即時型アレルギーとは限らず,PFASをはじめとした交差反応,食物関連アレルギー,着色料や保存料による過敏症の可能性も考慮する.

・発症前に摂取したメニューに魚介類,甲殻類などが含まれている場合は,寄生/汚染している寄生虫アニサキスによるアレルギーの可能性が大きい.

・血液検査だけでなく,できる限り皮膚テストや食物経口負荷試験を行い,原因食物/アレルゲンを特定し,必要最小限の食物除去を行う.

・併存するアレルギー性疾患,特に喘息やアトピー性皮膚炎の治療・管理を厳重に行うことを推奨する.

◆病態と診断

A病態

・「食物によって引き起こされる,抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」のことであり,厳密には非免疫学的機序による食物不耐症(代謝性疾患,薬理学的な反応,毒性食物による反応など)は含まない.

・海外の疫学調査では人口の3~10%で食物アレルギーを示唆する症状の経験があると報告されている.本邦では小児のデータが主であり,学童以降の有症率が1.3~4.5%というデータから推測するほかない.

・症状は原因食物の摂取後15分~1時間以内に即時型アレルギー症状を呈することが多いが,誘因の種類によっては経口摂取後数時間~半日以上経過してから発症する場合がある.具体的には,獣肉(ウシ,ブタなど),納豆,アニサ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?