診療支援
治療

好酸球増加症
eosinophilia
山田佳之
(東海大学教授・小児科学)

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ニュートピックス

・好酸球増加をきたす骨髄系腫瘍:2022年に造血器腫瘍のWHO分類が一部改訂され,慢性好酸球性白血病での好酸球増加の観察間隔の定義が短縮された.

治療のポイント

・大多数の好酸球は末梢血よりも組織に存在し,末梢血好酸球増多のみで治療を判断することは少なく,好酸球浸潤による臓器障害を認めた場合に治療されることが多い.

・続発性は原疾患の治療を行い,1次性の場合は好酸球を標的とした治療がなされる.

◆病態と診断

A病態

・1次性の好酸球増加の原因の1つは好酸球増加をきたす骨髄系腫瘍であり,血球そのもののクローナルな増殖である.遺伝子再構成(キメラ遺伝子など)を認めるものもあるが,腫瘍と判断できない特発性もある.さらに,異常なT細胞が好酸球の最終分化に必要なIL-5を過剰に産生することが原因になることもある.

・続発性では,原疾患によって2型のヘルパーT細胞や自然リンパ球からIL-5などが多量に産生され末梢血好酸球増加が生じる.

・またアジソン病などによる内因性ステロイドの減少も好酸球増加の原因となる.

B診断

・好酸球増加(eosinophilia)の定義はさまざまだが,末梢血好酸球数で500/μL以上としている文献が多い.1,500/μL以上が過好酸球増多(hypereosinophilia)と定義されている.比率ではなく絶対数である.

・末梢血好酸球増加の大部分は続発性であるが,続発性が鑑別された1次性の好酸球性疾患は,好酸球増多症候群(HES:hypereosinophilic syndrome)などの全身性好酸球性疾患と,好酸球性副鼻腔炎や好酸球性食道炎などの臓器特異的好酸球性疾患に分けられる().

・HESでは好酸球数1,500/μL以上を原則1か月以上の間隔で2回認める場合,あるいは病理学的に組織好酸球増加が明らかな場合を過好酸球増多とし,他疾患が除外され,

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