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ニュートピックス
・「アレルゲン免疫療法の手引き」(日本アレルギー学会)が発刊されている.
治療のポイント
・咬傷・刺傷,吸入,摂食のルートがあることを意識し,病態にあわせた治療を行う.
・問題となりやすいのはハチ刺症によるアナフィラキシー,頻度が多い蚊咬傷,チャタテムシの吸入による喘息発作である.
・ハチ毒に対しては原因特異的治療法がある.
◆病態と診断
A病態
・昆虫は,通常4枚の羽と6本の足を有する節足動物門昆虫綱に属する生物である.8本足であるダニ,クモは昆虫には属さない.
・昆虫アレルギーは,①刺咬によるもの(ハチ,蚊など),②吸入によるもの(チャタテムシ,蛾,ゴキブリ,ユスリカなど),③接触によるもの(蛾,毛虫など),④摂食によるもの(チャタテムシ,コオロギなど)に分類できる.
B診断
1.刺咬によるもの
・蚊咬傷による紅斑や腫脹は,即時型アレルギー・遅延型アレルギー反応で起こり,咬傷の回数に応じ程度が異なる傾向があることが知られている.
・ただし,これらは多くの人にみられる一般的な反応であり,“真の”蚊アレルギーとはいわない.真の蚊アレルギーは,発熱やじん麻疹など全身の症状を伴い,スキーター症候群などとよばれる.
・ハチ刺傷によるアナフィラキシーは,2回目以降の刺傷により,ハチ毒特異的IgE抗体と結合して起こる.ただし,初回の刺傷であっても,ハチ毒自体のヒスタミンなどの成分に対しアナフィラキシー様反応を起こしうる.
・ハチ毒特異的IgE抗体の感度は76~91.7%,特異度は85~100%であるが,ハチ刺傷直後または刺傷後から年数が経過している場合,ハチ毒特異的IgE抗体は陰性となることがある.
2.吸入によるもの
・日本ではチャタテムシが重要なアレルゲンであり,室内環境においてダニに次ぐアレルゲンとなる.海外ではゴキブリが吸入アレルゲンの原因として多いものの日本では少ない.
・正確