診療支援
治療

合成・生物学的抗リウマチ薬の副作用と対策
countermeasures against adverse reactions to synthetic and biological antirheumatic drugs
天野宏一
(埼玉医科大学総合医療センター教授・リウマチ・膠原病内科)

治療のポイント

・生物学的抗リウマチ薬(bDMARD)と,合成抗リウマチ薬(csDMARD),なかでもメトトレキサート(MTX)とヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の使用中は,感染症を合併しやすいことを認識する.

・あらかじめ,結核とB型肝炎のスクリーニング検査を実施する.既感染でも投与する場合は,それぞれの予防薬を併用する.

・JAK阻害薬を使用する際は,帯状疱疹合併の可能性が高いことを念頭に慎重に経過観察する.

・年齢や合併症,併用薬などの患者背景から十分にリスク評価をして投与を検討する.

・薬剤の作用機序,代謝排泄経路を理解する.

◆病態と診断

A感染症

・bDMARDや,MTX,JAK阻害薬などの投与中に問題となる日和見感染症を以下に挙げる.

1)潜在結核の再活性化

2)B型肝炎の再活性化

3)ニューモシスチス肺炎

4)帯状疱疹

5)その他,感染症に関連して注意する点:IL-6阻害薬の投与下では,感染症を併発してもCRPの上昇がみられないため,臨床症状などから常に感染症の可能性を考え対応する.

B投与時反応

・bDMARDは時にアレルギー反応を起こす.特に点滴製剤ではアナフィラキシー様の重篤な場合がある.投与開始は低速度で開始し,徐々に点滴速度を上げるなどの対策をとったうえで,開始後しばらくは慎重な経過観察が必要である.

C骨髄障害(血球減少)

・一部のcsDMARDでは骨髄障害をきたす可能性がある.特にMTXでは葉酸代謝拮抗作用が原因で,用量反応性にリスクが上昇する.高齢者や腎機能障害がある患者では投与を控えるか,用量を減量する.

D肺障害(主に間質性肺病変)

・csDMARDはどの薬剤も薬剤性肺障害をきたす可能性がある.

・薬剤による直接的な肺傷害,アレルギー反応のほか,ウイルスやニューモシスチスなどによる肺感染症も考慮する.

E肝障害

・csDMARDはどの薬剤も肝障害をきたす可能性があり,MTXとイグラチ

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