診療支援
治療

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〔アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)〕
eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA)[allergic granulomatous angiitis(Churg-Strauss syndrome)]
上阪 等
(千葉西総合病院・膠原病リウマチセンター長)

頻度 ときどきみる

GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)

GL抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き2020

GLANCA関連血管炎診療ガイドライン2023

治療のポイント

・気管支喘息などのアレルギー症状が先行する血管炎であり,不可逆的臓器障害を招かぬように治療する.

・不可逆的障害に結びつく重症臓器障害は,中枢・末梢神経を侵す血管炎,肺胞出血,消化管出血,心膜炎・心筋炎,糸球体腎炎などである.

・治療はステロイド治療が基本であるが,重症例,抵抗例や減量での再燃例にはシクロホスファミドなどの免疫抑制薬,メポリズマブ,免疫グロブリン大量静注などを併用する.

◆病態と診断

A病態

・本症は,アレルギー疾患が契機となり血管炎を発症すると考えられている.先行するのは,ほとんどが非アトピー型,成人型の気管支喘息であり,抗原特異的IgEが証明されず,鼻茸やアスピリン喘息と関連がある.

・約半数の症例で抗好中球細胞質抗体(ANCA:antineutrophil cytoplasmic antibody)の1亜型である抗ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)が陽性で,ANCA関連血管炎の一部ともされる.

・病理組織学的には好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽腫性ないし壊死性血管炎が主体である.標的臓器は,神経,肺,腎,皮膚,心臓,消化管などであり,顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症などのほかのANCA関連血管炎と類似しつつも,多発単神経炎による神経障害が多く,糸球体腎炎が少ないことが特徴である.

・神経症状のみが前景に立つ場合,血管炎を伴わない,好酸球増多症候群を鑑別する必要がある.

B診断

・厚生労働省難病認定のための診断基準が参考にできる.すなわち,気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎,好酸球増加,血管炎症状(発熱,体重減少,

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