頻度 あまりみない
治療のポイント
・厚生労働省研究班により「2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準」が公表された.
・複数の臓器に病変を認めることがあり,治療適応を考える際には全身臓器の精査が必須である.
・悪性腫瘍の合併率が高いといわれており,IgG4関連疾患に類似する他疾患の鑑別のため,生検による確定診断が望ましい.
・緊急に治療が必要な炎症性,閉塞性,腫瘤性などが臓器障害の病態をきたす場合にはすみやかに診断し,寛解を導入・維持するべく治療する.
・治療の中心はステロイドであり,治療反応性は良好だが,感染症,糖尿病,骨粗鬆症の発生に留意する.
・再燃の多くがプレドニゾロン10mg/日以下への減量で生じることから,身体所見,血中IgG4値のほか,定期的な画像検査も参考にしながらステロイドの減量を進める.
◆病態と診断
A病態
・リンパ球およびIgG4陽性形質細胞の浸潤と組織の線維化により,全身諸臓器の“腫大”や“結節・肥厚性病変”などを認める原因不明の疾患である.
・本症では血中のIgG4増加を認める.
・病変は涙腺,唾液腺,膵臓,胆管,腎臓,後腹膜,肺,眼窩,甲状腺など広範に生じる.
B診断
・「2020年 改訂IgG4関連疾患包括診断基準」では,①臨床的および画像診断,②血清学的診断(高IgG4血症,135mg/dL以上),③病理学的診断(多数のIgG4陽性形質細胞浸潤や花筵様を含む線維化など)をすべて満たすものを確診群,血清以外の2つの所見を満たすものを準確診群とする.
・生検が難しい臓器病変は包括診断基準で診断が困難であるので,例えば,膵臓,胆管,涙腺・唾液腺,腎臓,後腹膜・動脈,呼吸器,眼のそれぞれの臓器診断基準をもとに診断する.
・鑑別すべき重要な疾患として,悪性腫瘍,キャッスルマン病,サルコイドーシス,ANCA関連血管炎,感染症,アレルギーなどがある.
・国際的な基準として2019年に