頻度 あまりみない
GL標準的神経治療:結核性髄膜炎(2015)
治療のポイント
・診断確定までに時間がかかるため,疑いがある症例では,暫定的に診断して治療を開始するべきである.
・耐性菌の出現を抑えるため,多剤併用が原則である.また副腎皮質ステロイドの併用は予後の悪化を抑える可能性がある.
・長期にわたり頭部MRI検査などで細やかにフォローする必要がある.
◆病態と診断
A病態
・結核性髄膜炎は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による髄膜炎であり,主に肺病変から血行性に全身に播種し,続発性に中枢神経系感染が起こり発症する.
・近年では,HIV症例や自己免疫疾患などで免疫抑制薬やステロイドを使用している症例における合併症としての報告が増えている.
・症状は亜急性に進行する頭痛,発熱,嘔気・嘔吐があり,項部硬直は40~80%の症例で認められるが,症状が明確でなく,発熱と倦怠感のみの場合などもあり,注意が必要である.まれではあるが脳神経麻痺(外転神経,動眼神経,視神経,顔面神経など),片麻痺,けいれん(小児に多い)で発症する症例もある.
・進行すると髄膜炎から脳内結核腫となり,脳神経の圧迫,脳血管の閉塞,水頭症などが起こることがあるので,こまめな造影による画像評価が必要である.
B診断
・脳脊髄液所見は,細胞数増多(10~1,000/μL)があり,単核球優位,あるいは混合型の細胞増加を示し,蛋白質高値(50~300mg/dL),乳酸高値,糖の相対的低値(血糖値の1/2未満),アデノシンデアミナーゼ(ADA)高値(9U/L以上で疑いとなり,15U/L以上で強く示唆される)などの所見がみられる.
・脳脊髄液中の結核菌は塗抹(Ziehl-Neelsen染色)ではほとんどみられず,PCRと培養(小川培地)で陽性を確認する.PCRは迅速性に優れ,nested PCRであれば高感度・高特異