頻度 あまりみない
GL深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014
治療のポイント
・抗真菌薬を早期治療開始することが重要であり,投与期間は長期になる.
・クリプトコッカス髄膜炎の治療成績の向上には,導入治療のアムホテリシンBリポソーム製剤とフルシトシンの併用を2週間以上行うことが重要である.
・クリプトコッカス髄膜炎で脳脊髄液圧が25cmH2O以上を示す症例では,脳脊髄液のドレナージを考慮する.
◆病態と診断
A病態
・真菌性髄膜炎の90%はクリプトコッカス髄膜炎であり,わが国ではCryptococcus neoformansによるものがほとんどである.
・クリプトコッカス髄膜炎はまれな疾患だが,致死率10~25%と予後不良である.頭痛,発熱,無気力,昏睡,人格変化,記憶障害などが,亜急性から慢性経過に進行することが多い.
・アスペルギルスでは脳膿瘍,カンジダでは微小膿瘍の合併が多く,アスペルギルスやムコールは血管親和性が強く脳梗塞の合併が多い.
・真菌性髄膜炎は,HIV感染,悪性腫瘍,腎疾患,膠原病,高齢者,ステロイドや免疫抑制薬投与,糖尿病など免疫能低下状態で発症しやすく,カンジダでは脳外科手術後,栄養障害,全身性カンジダ症も背景因子になる.クリプトコッカス髄膜炎では健常者の発症も30%前後を占める.
B診断
・クリプトコッカス髄膜炎の診断には,墨汁染色,培養検査,血液・脳脊髄液検体を用いたクリプトコッカス抗原検査が有用である.アスペルギルスでは副鼻腔病変や膿瘍を形成することがあり,病理診断を考慮する.
・β-D-グルカンはアスペルギルスやカンジダでは上昇するが,クリプトコッカスでは通常陰性となる.また血液透析・血液製剤の使用で偽陽性を呈する.
・クリプトコッカス髄膜炎の頭部MRI所見として,髄軟膜に沿った造影剤増強効果,水頭症,脳梗塞,肉芽腫性病変(cryptococcoma),大脳基底核のゼ