診療支援
治療

視神経脊髄炎スペクトラム障害
neuromyelitis optica-spectrum disorder(NMOSD)
中原 仁
(慶應義塾大学教授・神経内科学)

頻度 あまりみない

GL多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023

ニュートピックス

・2022年,抗CD20抗体製剤リツキシマブに本症が適応追加となった.

・2023年,重要な鑑別疾患である抗MOG抗体関連疾患(MOGAD)の国際診断基準が発表された.

・2023年にエクリズマブ誘導体であるラブリズマブに本症が適応追加となり,投与間隔を隔週投与から8週間ごと投与に延長することが可能になった.

治療のポイント

・抗アクアポリン4(AQP4)抗体による自己免疫疾患であり,視神経や脊髄に留まらず,大脳や脳幹などにもしばしば不可逆的な病変をきたす.

・発症ないし再発から1~2年は再発率が高く,「再発クラスター期」とよばれる.特にこの期間は積極的に生物学的製剤を用いて再発予防に努めることが重要である.

・終生再発予防治療が必要と考えられており,治療合併症のリスクマネジメントが必須である.

・現行の診断基準(2015年)では抗AQP4抗体が陰性であっても本症を診断できるが,生物学的製剤はすべて抗AQP4抗体陽性例のみ適応である.

◆病態と診断

A病態

・中枢神経系のアストロサイトが発現するAQP4に対する自己免疫疾患である.

・血清の抗AQP4抗体が血液脳関門を越えて侵入し,補体介在性にアストロサイトを傷害することが主たる病態である.

B診断

・国際診断基準(2015年)を用いる.血清の抗AQP4抗体が陽性の場合,中枢神経系に由来する症状があり,他の疾患が除外できる場合は本症と診断する(「治療のポイント」も参照のこと).

・保険適用の抗AQP4抗体検査(ELISA法)は感度が低いため,偽陰性を疑った場合はより感度の高いCBA法(保険適用外)での確認が求められる.

・本症では,視神経炎(失明や水平性半盲が多い),脊髄炎(横断性脊髄炎が多い),延髄病変(難治性の嘔気や吃逆が多い)などを認める.延髄病

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