診療支援
治療

レヴィ小体型認知症
dementia with Lewy bodies(DLB)
勝野雅央
(名古屋大学大学院教授・神経内科学)

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GL認知症疾患診療ガイドライン2017

治療のポイント

・認知機能障害,認知症の行動・心理症状(BPSD:behavioral and psychological symptoms of dementia),パーキンソニズム,レム期睡眠行動異常症,自律神経障害などに対する対症療法を行う.

・抗精神病薬に対する過敏性や,認知機能障害の治療によるパーキンソニズムの悪化,パーキンソニズムの治療に伴う認知機能障害の悪化など,薬物治療の副作用に十分留意する.

・特に進行期では急速に症状が悪化することもあるので,適切な診断と早期の治療介入を心掛ける.

◆病態と診断

A病態

・中枢神経系(中脳・大脳皮質)や自律神経系などへのα-シヌクレインの蓄積(病理学的にはレヴィ小体・レヴィ神経突起として観察される)を基本病態とする.

・同じくレヴィ小体を病理学的マーカーとするパーキンソン病と同一疾患スペクトラムに含まれるが,認知症を伴うパーキンソン病に比べ,認知機能障害が高度,運動症状の左右差が少ない,静止時振戦がみられにくい,などの差異も知られてる.

B診断

・DLBコンソーシアムによる改訂診断基準(Neurology 89:88-100,2017)を用いる.

・まず,日常活動に支障をきたす程度の進行性の認知機能低下があることが診断に必須である.

・中核的特徴は,認知の変動,繰り返し出現する具体的な幻視レム期睡眠行動異常症パーキンソニズム(動作緩慢,静止時振戦,筋強剛)である.

・レム期睡眠行動異常症は認知機能低下に先行することがある.

・支持的特徴として,抗精神病薬に対する重篤な過敏性,高度の自律機能障害(便秘,起立性低血圧,尿失禁など),過眠,嗅覚低下,幻視以外の幻覚(特に幻聴),体系化された妄想,アパシー,不安,うつがある.

・指標的バイオマーカーは,SPECTまたはPETで示される基底核におけるドパミ

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