頻度 あまりみない
GLHuntington病の診断,治療,療養の手引き(2020)
治療のポイント
・常染色体顕性(優性)遺伝性疾患であり,遺伝コンサルトや心理カウンセリングの必要性も高いので,専門医への受診が原則である.
・運動症状,精神症状,認知症状のなかで,患者・家族の希望や日常生活動作上の課題から治療目標を設定し,共有する.
・成人型では進行期に,若年型では初期から,てんかん全般発作を生じることがあり,他疾患との鑑別が重要である.
◆病態と診断
A病態
・第4染色体短腕4p16.3上のHuntingtin(HTT)遺伝子で,CAG繰り返し配列が伸長しコードされたグルタミンが,他の構造物と複合して神経細胞核内に凝集することにより細胞毒性を発揮する.
・いわゆるポリグルタミン病であり,表現促進現象もみられ,繰り返し配列が多いほど,若年で発症して重症化する傾向がある.
B診断
・舞踏運動,進行性の精神症状・認知症状.特に30~40歳代初発では本疾患が疑われる.
・初発症状は,運動症状,精神・認知症状のどちらもあり得る.
・脳MRIで尾状核頭部の萎縮が特徴的な所見である.
・遺伝子診断でのHTTのCAGリピート数が40以上で診断が確定できる.
◆治療方針
根本治療はないため,運動症状,精神・認知症状に対する対症療法を行う.
A舞踏運動
テトラベナジンが第1選択薬である.舞踏運動以外の症状への効果は期待できない.不随意運動の主体がミオクローヌスの場合はクロナゼパムの使用を検討する.
Px処方例 下記1)を用い,症状に応じて2)を検討する.