診療支援
治療

筋萎縮性側索硬化症
amyotrophic lateral sclerosis(ALS)
漆谷 真
(滋賀医科大学教授・脳神経内科)

頻度 ときどきみる(10万人あたり5~7人)

GL筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023

ニュートピックス

・経口エダラボン製剤が2022年12月にわが国で薬事承認を受けた.

治療のポイント

・治療薬はリルゾール(経口)とエダラボン(点滴静注).発症早期からの投与が重要.

・体重減少は予後不良の指標である.早期から必要カロリー評価と栄養指導を行う.経口摂取量が減少した場合は,カロリー維持目的のため早期の胃瘻造設を考慮する.

・ALSの呼吸苦に対して適切なタイミングで強オピオイドを用いる.

◆病態と診断

A病態

・脳・脊髄の運動ニューロンの神経変性による進行性疾患.全身の筋萎縮と筋力低下を主徴とし,発症後2~3年で致死性呼吸不全に至る.

・全体の90%が遺伝歴のない孤発性ALSで,RNA結合蛋白質であるTDP-43が病原分子として注目されている.あとの10%を占めるのが家族性ALS(FALS)であり,本邦で最も多い原因遺伝子はSOD1

B診断

・上位ならびに下位運動ニューロン機能の進行性障害を示し,類似疾患を除外したうえで診断する.上位運動ニューロン徴候は腱反射亢進や病的反射の出現,下位運動ニューロン徴候筋萎縮線維束性筋収縮であり,下位運動ニューロン変性の証明には筋電図と神経伝導検査が必須である.

体重減少がほぼ必発する.

・診断基準として最も用いられているのは改訂El Escorial診断基準である.①脳神経,②頸髄,③胸髄,④腰仙髄の4領域のうち何領域で上位ならびに下位運動ニューロン徴候を認めるかによって,possible(1か所),probable(2か所),definite(3か所)のグレードに分ける.

・近年提唱されたGold Coast診断基準では,ほかの疾患が否定されたうえで異なる2領域の下位運動ニューロン徴候を認めた場合,上位徴候がなくともALSの診断が可能である.

◆治

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