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ＧＬ特発性正常圧水頭症診療ガイドライン第3版（2020）

ニュートピックス

・ガイドラインの診断アルゴリズムにはiNPHに類似する疾患の鑑別診断プロセスが包含されていない．

・iNPHの診断時には指摘できない潜在性のアルツハイマー病やパーキンソン症候群，そして白質脳症や脳血管障害などが予後に影響を与えることが少なくない．

・central nervous system interstitial fluidopathyとは間質液動態異常が主要因とされる症候群であるが，iNPHはその構成疾患であるとの学説もある．

治療のポイント

・高齢者ほど，歩行障害，認知障害，排尿障害といったiNPHの3徴以外の主訴が増えるため，神経学的所見の推移を注意深く観察する必要がある．

・併存疾患の可能性がある場合は，DATスキャンやMIBG心筋シンチグラフィなどの核医学検査を必要に応じて検討することが望ましい．

◆病態と診断

・脳脊髄液（CSF：cerebrospinal fluid）は呼吸や心拍に影響される速い動きと排泄経路に関与する緩徐な動きにより制御されるが，iNPHでは髄液停滞と脳代謝産物排泄経路障害や静脈排泄機能障害の関与が指摘されている．

・臨床では診断基準がガイドラインに詳述されているが，各フェーズにおける必須項目は以下の通り．

1）suspected iNPHは60歳以上，脳室拡大（Evans Index＞0.3）が存在すること．

2）possible iNPHはこの2つの項目を満たし，歩行障害や認知障害そして排尿障害のうち1つ以上が存在し，他の神経学的あるいは非神経学的疾患によってこれら臨床症状のすべてを説明できず，脳室拡大をきたす可能性のある先行疾患がないこと．

3）probable iNPHはpossible iNPHの必須項目を満たし，脳脊髄圧が20cmH₂O以下でかつOSFの性状が