診療支援
治療

てんかんの内科治療
medical treatment of epilepsy
池田昭夫
(京都大学大学院教授・てんかん・運動異常生理学)

頻度 よくみる(有病率は0.4~0.9%,高齢者は1.2%)

GLてんかん診療ガイドライン2018

ニュートピックス

・従前からの抗てんかん薬(AED:antiepileptic drugs)は,多くはてんかん原性を治療する薬剤ではなく発作を抑制する作用をもつため,現在は抗発作薬(ASM:antiseizure medication)の用語が推奨されている.

治療のポイント

・初回発作患者の再発率は5年間で33%で,脳波異常,神経学的異常所見,画像異常所見,家族歴陽性の場合がこれに相当し,初回後からの継続治療を考慮する.2回発作後の再発率は1年間で75%で,治療開始が推奨される.

・慢性てんかんの約70%では,抗発作薬で発作が日常生活上良好に抑制されるが,30%は難治で日常生活に直接影響する発作が起こるため,合理的多剤併用療法,てんかん外科治療などが考慮される.

・薬物治療では2~5年間の発作寛解を目安として,その後てんかんの疾患分類に応じて減量が考慮される.

・妊娠可能女性では,妊娠時の投与について,催奇形性が低い薬剤選択と単剤療法を目指す.一方,抗発作薬が思春期以降の女性の卵巣に影響を及ぼし,将来の妊娠の催奇形性に影響するという誤解がないように指導する.

◆病態と診断

A病態

・「てんかん」とは,慢性の脳の疾患であり,大脳の神経細胞が過剰に興奮し,発作は突然に起こり,普通とは異なる身体や意識,運動や感覚の変化が生じる.反復性の発作(てんかん発作)を唯一あるいは主徴とし,種々の臨床症状および検査所見を伴う.

・てんかんは,「炭の火種と炎」,「脳の不整脈」という説明を患者にするとわかりやすい(池田原案).

・病歴上,発作症状は,全身の各種全般運動発作(両側強直間代発作,全般強直間代発作,全般間代発作,全般ミオクロニー発作,全般てんかん性スパスム発作など)と,焦点起始発作(旧称で部分発作)に大別される

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