診療支援
治療

大気汚染・PM2.5による健康障害
health effects due to air pollution including PM2.5
道川武紘
(東邦大学准教授・衛生学)

頻度 情報なし

ニュートピックス

・近年,妊婦が大気汚染物質への曝露により影響を受けやすい対象として認識されるようになり,妊娠中の曝露による,妊婦自身の健康(産科合併症の発生など),胎児の健康(出生体重低下,在胎週数短縮など)との関連性について研究が進んでいる.

治療のポイント

・呼吸器系や循環器系疾患,生活習慣病などの基礎疾患を有する患者,高齢者,妊婦,子どもなどは,大気汚染物質の曝露による影響を受けやすい集団と考えられている.公開されている大気汚染物質濃度の情報を定期的に確認し,濃度が高い場合には屋外での活動を極力減らすなど予防的対応をとることが望ましい.

・海外には日本よりも大気汚染物質濃度の高い国(地域)があるので,海外での仕事や旅行の相談を受けた場合は該当国(地域)の大気汚染状況を確認するとよい(World's Air Pollution:Real-time Air Quality Index:https://waqi.info/).基礎疾患を有する方が濃度の高い地域を訪問しなければならないときは,英文診断書を用意し,急性症状への対応も踏まえた処方をする.

◆病態と診断

A病態

・大気汚染物質には,気体状の二酸化硫黄(SO2),二酸化窒素(NO2),光化学オキシダント(Ox)などと,粒子状の浮遊粒子状物質(SPM),微小粒子状物質(PM2.5)などがあり,行政上の政策目標として,人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準〔環境基準,具体的数値は環境省HP(https://www.env.go.jp/kijun/taiki.html)参照〕が定められている.

・四大公害の1つである四日市喘息の原因とされるSO2 は,現在環境基準を大きく下回っている.ただし,火山ガスの影響で濃度が高くなる場合がある.

・NO2 は呼吸機能低下,易感染性を引き起こすことが知られて

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