診療支援
治療

肘離断性骨軟骨炎
osteochondritis dissecans of the elbow
岩堀裕介
(三仁会あさひ病院・スポーツ医学・関節センター長(愛知))

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ニュートピックス

・骨端線閉鎖前の肘離断性骨軟骨炎早期例に対して集束型衝撃波療法(FSW:focused shock wave)を実施することにより,治癒を促進する可能性が示された(運動器の体外衝撃波治療マニュアル.pp68-74,2022).

・骨端線閉鎖前の肘離断性骨軟骨炎早期例に対して外固定を実施したところ,外固定未実施例に比べて完全治癒する確率が高まり,さらに治癒するまでの期間が短縮することが報告された(J Shoulder Elbow Surg 31:1231-1241,2022).

治療のポイント

・無症状である早期(透亮期,分離前期)の段階で病変を検出するためには,エコー検診が必要である.

・病期(透亮期,分離前期・後期,遊離期),骨年齢・暦年齢によって病変の治癒能力に差があるため,画像検査で病期と骨年齢を確実に把握して,治療方針を決定する.

・骨端線閉鎖前の早期においては,保存療法を徹底して治癒を目指し,進行期(分離後期,遊離期)においては手術療法を適応する.

◆病態と診断

A病態

・肘関節における離断性骨軟骨炎の発生部位の大部分が上腕骨小頭部であるため,本項では小頭発生に限定して解説する.

・上腕骨小頭部の骨軟骨障害で,10歳代前半に発生する.野球や体操などのスポーツ活動による圧迫・剪断ストレスが繰り返し加わり,軟骨と軟骨下骨の境界部が破断し,同部の骨吸収・骨壊死を生じ,進行すると骨軟骨片が不安定となり最終的に遊離する.血行障害や遺伝的素因の関与も報告されている.

・初期には無症状であることが多く,進行すると投球時の肘関節外側の疼痛や,肘関節可動域制限,遊離骨軟骨片によるロッキング症状を呈する.診断・治療が遅れると変形性関節症に進行することがある.

B診断

・診断の決め手は,後述する画像所見である.

・家族歴は,兄弟発症,親子発症の場合があり,その場合,遺伝的素因の

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