治療のポイント
・患者の希望も考慮するべきであるが,軽症例では保存療法,重症例では手術治療を行うのが基本である.
・ほかの神経疾患との鑑別が必要である.
◆病態と診断
A病態
・手根管症候群とは,しびれなどの正中神経症状を呈する症候群である.その発生機序については,いまだ不明な点が多い.手根管内圧の上昇による絞扼性正中神経障害との説が有力であった.しかし近年,超音波検査所見などによる手根管内での正中神経の動的検討から,神経の不動化が発症に寄与している可能性も示唆されている.
・圧倒的に女性に多く,女性ホルモンとの関連も知られている.特発性(閉経後,妊娠時)の症例が大多数を占める.
・男性例や誘因が不明なものについては,腫瘍など手根管内占拠物の検索も必要.
・近年,手根管症候群とアミロイドーシスの関連性が指摘されている.手根管症候群が心アミロイドーシスに先行して発症する症例も多く,early red fla