◆病態と診断
・槌指には,末節骨に付着する伸筋腱終末部の腱成分で断裂する腱性槌指と,腱の付着する骨の部分で生じる裂離骨折が原因となる骨性槌指の2つの病態がある.
・腱性槌指は遠位指節間(DIP)関節伸展位で屈曲方向に外力が加わることにより生じることが多く,骨性槌指は指尖部からの軸方向の力が加わり,DIP関節が過伸展することによって生じることが多い.腱性,骨性ともにDIP関節の自動伸展が不能となるが,陳旧例では軟部の癒合などにより伸展ラグを生じて伸展することもある.
・腱性槌指と骨性槌指の診断にはX線による骨折の有無で判断することができる.
◆治療方針
A腱性槌指
1.保存療法
保存療法が一般的で,受傷直後よりDIP関節を過伸展位で固定する.過伸展位により背側皮質の血流障害が生じることもあるため固定中の経過を注意深く観察する必要がある.固定期間は8週間ほど必要という意見もあり,手洗いや入浴時に固定を外すことで伸展不全が生じてしまうことがないように,常に伸展位を維持することが大事である.シーネなどをテープで固定する方法と,槌指用のDIP伸展装具などの固定方法がある.
2.手術療法
開放創に伴うものに限っては直接の縫合も検討する.また,伸筋腱を末節骨近位背側にアンカーを用いて固定する方法などもある.
B骨性槌指
一般的に骨片が関節面の30%以上を含む場合,掌側脱臼がある場合において手術が検討される.
1.保存療法
腱性マレットの保存療法同様に伸展位で固定する.骨性の場合には5~6週間で仮骨形成による架橋がされれば外固定を外す.症例に応じて固定期間は増減するが,架橋部が破綻しない程度に徐々に可動域訓練を行っていく.
2.手術療法
ブロックピンなどによる経皮的な鋼線固定を行うことが多いが,フックプレートによる観血的整復固定を用いることもある.陳旧例では手術療法が一般的となる.骨間を新鮮化するために観血的