◆病態と診断
・槌指には,末節骨に付着する伸筋腱終末部の腱成分で断裂する腱性槌指と,腱の付着する骨の部分で生じる裂離骨折が原因となる骨性槌指の2つの病態がある.
・腱性槌指は遠位指節間(DIP)関節伸展位で屈曲方向に外力が加わることにより生じることが多く,骨性槌指は指尖部からの軸方向の力が加わり,DIP関節が過伸展することによって生じることが多い.腱性,骨性ともにDIP関節の自動伸展が不能となるが,陳旧例では軟部の癒合などにより伸展ラグを生じて伸展することもある.
・腱性槌指と骨性槌指の診断にはX線による骨折の有無で判断することができる.
◆治療方針
A腱性槌指
1.保存療法
保存療法が一般的で,受傷直後よりDIP関節を過伸展位で固定する.過伸展位により背側皮質の血流障害が生じることもあるため固定中の経過を注意深く観察する必要がある.固定期間は8週間ほど必要という意見もあり,手洗いや入浴時に固定を外す