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Ⅰ.ヘバーデン結節
ニュートピックス
・広義の更年期症状の1つとしてとらえられ,更年期治療が初期症状の緩和に役立つことがわかってきた.
◆病態と診断
A病態
・指の遠位指節間(DIP:distal interphalangeal)関節の骨性隆起および変形性関節症をヘバーデン結節とよぶ.ちなみに近位指節間(PIP:proximal interphalangeal)関節の変形はブシャール結節とよび,別の疾患である.
・初期症状はDIP関節周囲の軽度の発赤,腫脹,痛みであるが,数年放置するとX線上で関節の変形が診断できるようになる.伸筋腱付着部に骨性隆起が起きて,やがて関節軟骨の摩耗により関節動揺性・伸展障害に至る.
・X線上の関節変形の程度と痛みの訴えは相関せず,関節周囲滑膜に腫脹がある時期に強い痛みを訴える.
B診断
・初期症状の関節の腫脹・発赤・疼痛の臨床症状に加えて,X線所見での関節変形の確認により確定診断がつく.
・血沈・CRPなどの血液検査では異常な炎症所見はみられない.
・合併症としてDIP関節背側に粘液嚢腫(病理学的にはガングリオン)が生じることがある.
C疫学
・発症に男女差はないが,訴えが強いのは圧倒的に女性である.発症好発時期が,エストロゲンが低下しはじめる時期(女性は45~50歳前後,男性は60歳前後)に重なるため,更年期症状の一症状とする認識が広まりつつある.
・65歳以上の87%にX線上で1関節以上のヘバーデン結節がみられるという報告もあり,最も頻度の多い変形性関節症といえる.
◆治療方針
A保存療法
保存療法は疼痛の緩和が主目的となる.主なものは関節の外固定,消炎鎮痛薬,代替療法,関節内ステロイド注射などである.
1.関節の外固定
テーピング(3Mコーバン),関節固定器具(ヘバーデンリング,ヘバループ)が疼痛緩和・関節動揺性の矯正に効果的である.
2.疼痛が強い症例
消炎