頻度 (発生頻度は0.1%程度)
治療のポイント
・先天性内反足は可及的早期より治療を開始すべき疾患である.
・典型的な足部変形(図)が認められた場合には,すみやかに専門施設への紹介を行う.
・内反足の軽症例と子宮内肢位に伴う内反足位との鑑別は時に困難であるため,疑われる場合は専門医に紹介する.
◆病態と診断
A病態
・足部変形は,①足根骨の配列異常,②足根骨の形成異常,③軟部組織の短縮・拘縮により生じる.
・内反足は凹足・内転・内反・尖足で構成され,これらは足根骨の配列異常が原因である.
・骨・軟部組織の成長障害は足部のみならず下腿に及び,足長(足の大きさ)や下腿の筋量にも影響を及ぼす.
B診断
・特徴的な足部形態による臨床診断と,画像診断にて行う.
・CLUB FOOTの名称の通りゴルフクラブ様の足部変形を認め,固く徒手矯正が困難である.
・単純X線正面像では,踵骨がROLL INするため距骨と踵骨が重なる.
・単純X線側面像では,距骨の骨化遅延や中足骨の階段状配列を認める.
C鑑別診断
・麻痺性内反足:脳性麻痺や二分脊椎に合併する.
・症候性内反足:多発関節拘縮症や染色体異常に合併し,治療に反応しない難治性の内反足の場合は疑う必要がある.
・子宮内肢位に伴う内反足位:足部形態の特徴は先天性内反足と酷似するが,足部は柔らかく容易に徒手矯正が可能.
・先天性内転足:前足部の内転変形のみで,背屈が可能かどうかで鑑別する.
◆治療方針
Ponseti法が標準的な治療法となっている.
足部変形のうち前足部変形(凹足・内転・内反)を徒手矯正し,ギプス固定を行う.4~7日ごとに行い,合計5~6回程度繰り返して段階的な矯正を行う.前足部の矯正終了後に尖足変形が残存(背屈15度未満)する場合には,アキレス腱の皮下切腱術を行う.施設により局所麻酔または全身麻酔にて行う.
4歳頃まで装具療法が必要であり,変形再発時には手術治療を