診療支援
治療

がんの骨転移
bone metastasis
小林 寛
(東京大学医学部附属病院講師・整形外科)

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GL骨転移診療ガイドライン改訂第2版(2022)

ニュートピックス

・標準治療に不適・不応の悪性骨腫瘍に対する治療を目的としたラジオ波焼灼システムによる治療が保険適用となった.

治療のポイント

・骨転移による骨折および麻痺を予防し,ADL,QOLを維持することが重要である.

・多診療科,多職種の連携による集学的治療が必要である.

・骨転移が生じても長期予後を目指しうる症例は,積極的に根治的手術を行う.

・脊髄圧迫,高Ca血症,切迫骨折,病的骨折は緊急対応が必要である.

◆病態と診断

A病態

・癌種別では,前立腺癌では約90%,乳癌では約50%,肺癌や腎癌や膀胱癌では約40%,消化器癌では約5%に骨転移が生じるとされているが,正確な発生数は不明である.

・血行性に転移し,脊椎(腰椎,胸椎,頸椎,仙椎の順に多い),四肢長管骨近位に生じやすい.

B診断

・単純X線やCTでは骨破壊の程度を評価し,MRIは病変の広がり,特に骨梁間型転移の診断に有用である.

・脊椎転移がみられる症例では,脊柱管内への進展を見逃さないことが重要である().脊椎転移・脊髄圧迫を示唆する症状として,腰部や背部などに増悪傾向のある疼痛,夜間に悪化する疼痛,胸腹部・上下肢に放散する疼痛,下肢の脱力,膀胱直腸障害などに注意すべきである.

高Ca血症にも注意が必要で,補正Ca値が12(mg/dL)以上で悪心や倦怠感などの軽度の症状が出現することがあり,14(mg/dL)以上では記憶障害・傾眠などの中枢神経障害や腎機能障害が生じることがある.

◆治療方針

 骨転移による麻痺,骨折,疼痛によるADL・QOLの低下を予防,改善することを目的とする.治療方針を決定するうえで予後予測が重要であり,片桐スコアや徳橋スコアなどを参考にするが,原発巣治療を担当する医師と協議して治療方針を決定する必要がある.

A薬物治療

 原発巣に対する薬物治療に加え

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