診療支援
治療

後腹膜腫瘍,後腹膜線維症
retroperitoneal tumor(including retroperitoneal fibrosis)
宮嶋 哲
(東海大学教授・腎泌尿器科学)

頻度 あまりみない

GLIgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維症の診断の指針(2018)

治療のポイント

・後腹膜腫瘍は比較的まれな疾患で,年間新規発症者数10万人に1人程度.

・悪性と良性が存在するが,悪性腫瘍(肉腫,悪性リンパ腫)の頻度が高い.

・主な悪性腫瘍は脂肪肉腫,平滑筋肉腫,悪性リンパ腫であり,良性腫瘍には神経鞘腫と血管腫が多い.

・炎症性疾患として後腹膜線維症が起こりうる.

・画像検査で偶発的に発見されることもある一方で,隣接臓器の圧迫による症状,水腎症,腎障害などを契機に発見されることも少なくない.

◆病態と診断

A病態

・後腹膜腫瘍は,後腹膜領域に発生した腫瘍の総称.

非上皮性細胞(脂肪,筋肉,血管,リンパ管,骨,神経など)から発生する.

・初期症状はほとんどないが,腫瘍が大きくなるにつれ周囲臓器を圧迫し,さまざまな症状(腹満感,嘔気,便秘,排尿障害)をきたす.

・後腹膜線維症は腹部大動脈を中心とした後腹膜に炎症性細胞浸潤と線維化をきたす疾患で,中高年に好発する.ほとんどは原因不明の特発性であるが,悪性腫瘍,大動脈瘤,自己免疫疾患でも発症する.尿管閉塞による水腎症や腎障害をきたす.

B診断

・診断の流れ:腫瘍マーカーを含む血液生化学検査や画像診断(腹部超音波検査,CT,MRI)に加えて,PET-CTやシンチグラフィの結果から総合的に診断する.

1.後腹膜腫瘍の診断

・腫瘍増大により隣接臓器への圧排で生じた症状で来院することが少なくない.

・CT,MRIなど画像検査から腫瘍の存在が明らかとなっても,画像所見から確定診断に至らない場合があり,CTガイド下生検により病理組織学診断を行うことが望ましい.ただし,パラガングリオーマなどカテコールアミン産生腫瘍の場合は生検禁忌となるので注意を要する.

2.後腹膜線維症の診断

尿管閉塞による水腎症や腎機能障害によって発見される場合が多い.

・背

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