診療支援
治療

腎血管筋脂肪腫
angiomyolipoma
原田健一
(産業医科大学准教授・泌尿器科学)

頻度 あまりみない(人口10万対年間0.4~0.5人)

GL結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫診療ガイドライン(2023年版)

GL腎癌診療ガイドライン2017年版

治療のポイント

・治療に際し,結節性硬化症(TSC:tuberous sclerosis complex)に伴う腎血管筋脂肪腫(AML:angiomyolipoma)かTSCに伴わない孤発性AMLかを鑑別する必要がある.

・孤発性AMLの場合,一般的に腫瘍径が4cm以上であれば選択的腎動脈塞栓術による治療介入を検討する.

・TSCに伴うAMLと診断されれば,「結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫診療ガイドライン2023」では,腫瘍径の増大に伴う疼痛などの症状がみられる場合に,分子標的治療薬エベロリムスによる治療介入が推奨されている.また,無症状であっても,腫瘍径が4cmを超える場合や動脈瘤を有する場合において破裂を起こすリスクが高まるため,エベロリムス投与による破裂予防が考慮される.

◆病態と診断

A病態

・腎血管筋脂肪腫(AML)は,血管周囲類上皮細胞に由来する腫瘍として分類され,組織学的に血管,筋,脂肪を主たる構成成分とする腫瘍であり,多くが良性腫瘍(過誤腫)である.

・腎AMLの20~30%は,常染色体優性遺伝疾患である結節性硬化症(TSC)に合併する.

・男女比1:3で女性に多い.

B診断

・超音波,CT,MRIで脂肪成分を確認することが重要であるが,脂肪成分に乏しいAMLも約5%に存在し,乳頭状腎癌などの悪性腫瘍との鑑別が困難である場合は,腎腫瘍生検を行い確定診断することが推奨される.

◆治療方針

 腫瘍破裂に伴う出血性ショックを予防することが肝要である.TSCに伴うAMLであれば,前述した腫瘍径(3cmを超える),動脈瘤の有無,てんかん,顔面血管線維腫やTSC関連精神症状(TAND:TSC-associated neuropsychi

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