診療支援
治療

腎盂・尿管腫瘍
renal pelvic and ureteral tumor
久米春喜
(東京大学大学院教授・泌尿器外科学)

頻度 あまりみない

GL腎盂・尿管癌診療ガイドライン2023年版

ニュートピックス

・ロボット支援による腎尿管全摘除術が保険適用となった.

・再発のリスクの高い症例に対する術後化学療法の有効性が,第Ⅲ相無作為化比較試験で確認された(POUT trial).

治療のポイント

・転移のない症例では腎尿管全摘除術が行われる.

・単発,小径,低悪性度腫瘍などのlow risk症例では尿管鏡でのレーザー切除,尿管部分切除術などの腎温存治療も行われる.

・転移性腫瘍,切除不能症例ではM-VAC療法,GC療法,免疫チェックポイント阻害薬などの薬物療法が行われる.

◆病態と診断

A病態

・顕微鏡的血尿,肉眼的血尿,腫瘍・凝血塊による水腎症(側腹部痛)などを契機に発見される.

・喫煙は最も重要な危険因子である.最近,アリストロキア酸による漢方薬腎症やバルカン腎症と腎盂・尿管癌発生の関連が指摘されている.

・リンチ症候群では3番目に多く発生する癌といわれている.一方で膀胱癌と同症候群の関連性は必ずしも明らかではない.

・腎盂・尿管癌症例の20~50%に膀胱癌が続発するとされる.

B診断

CTウログラフィでの腫瘍の描出,軟性尿管鏡検査および腫瘍の生検,尿管カテーテルによる造影や尿管尿の尿細胞診検査などにより診断を行う.

・膀胱癌を合併することも多いため,膀胱鏡は必須である.

◆治療方針

A腎尿管全摘除術

 耐術能のある転移のない症例が適応である.腎臓,尿管を摘除する手術であるが,膀胱壁内尿管の摘出(尿管口を含めた摘出)も必要である.

 開放手術,腹腔鏡手術,ロボット支援手術いずれの方法も保険適用である.腹腔鏡手術では,腎臓や上部,中部尿管の遊離は腹腔鏡下で行い,下部尿管,膀胱壁内尿管の摘除は下腹部に小切開をおいて開放手術で行われることが多い.一方,ロボット支援手術では後者もそのままロボットで行うことが可能である.

 リンパ節郭清の診断的

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