診療支援
治療

膀胱腫瘍
bladder cancer
佐野剛視
(関西医科大学講師・腎泌尿器外科)

頻度 ときどきみる

GL膀胱癌診療ガイドライン2019年版(2020,2011,2022年アップデートあり)

治療のポイント

・経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT:transurethral resection of bladder tumor)で組織診断・深達度診断を行い,治療方針を決定する.

・筋層非浸潤癌はTURBT自体が根治治療となり,筋層浸潤癌は膀胱全摘除術,転移性癌は全身薬物療法が治療の中心である.

◆病態と診断

A病態

・膀胱腫瘍のほとんどは癌であり,尿路上皮を発生母地とした尿路上皮癌が組織型の90%以上を占める.

・喫煙で膀胱癌の発症リスクが約4倍になる.

・尿路上皮に多発する傾向があり,上部尿路(腎盂・尿管)や近位尿道にも注意を払う必要がある.また,筋層非浸潤癌が複数回尿路上皮に再発することがある.

B診断

・典型的な初発症状は無症候性肉眼的血尿であるが,顕微鏡的血尿を契機に診断されることもある.

・排尿痛や頻尿,尿意切迫感などの膀胱刺激症状をきたし,膀胱炎との鑑別が難しいことがある.適切な抗菌薬投与にもかかわらず症状が改善しないときは膀胱癌を念頭におく.

・膀胱鏡検査で腫瘍の存在部位,形態,数,サイズを評価する.

・尿細胞診や超音波検査が補助的に用いられる.

・MRIは腫瘍の深達度診断に,胸腹部造影CTは上部尿路の評価やステージングに有用である.

◆治療方針

 まず,CTやMRIなどの画像検査とTURBTを行い,組織診断や,転移性・非転移性,筋層非浸潤癌・筋層浸潤癌の臨床診断を行う.

A筋層非浸潤性膀胱癌(Ta/T1/CIS)の治療

 初発,単発,3cm未満,Ta,低異型度,上皮内癌(CIS:carcinoma in situ)なしのすべてを満たすものは低リスク,T1,高異型度,CISありのいずれかを満たすものは高リスク,それ以外は中リスクに分類する.

 Ta/T1はTURBTが根治治療である

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?