診療支援
治療

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群
interstitial cystitis(IC)・bladder pain syndrome(BPS)
巴ひかる
(東京女子医科大学附属足立医療センター教授・泌尿器科)

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GL間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(2019)

ニュートピックス

・「K800-4ハンナ型間質性膀胱炎手術(経尿道)9,930点」が2022年4月保険収載された.本手術は,原則として膀胱水圧拡張術とあわせてハンナ病変の経尿道的凝固・蒸散術を行うことで,施設基準は膀胱水圧拡張術と同じである.

治療のポイント

・ハンナ病変を有する間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS)をハンナ型間質性膀胱炎(ICまたはHIC;Hunner type IC)と診断し,ハンナ病変がないものは点状出血の有無に関係なくBPSとして治療法を検討する.

・IC(HIC)とBPSでは病態が異なり,治療効果も異なる.

・IC(HIC)ではハンナ型間質性膀胱炎手術(経尿道)が第1選択となる.

・ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethyl sulfoxide)膀胱内注入療法はIC(HIC)にのみ適用がある.膀胱に関連する諸症状を改善する.

・IC/BPSに対して食事療法やストレスの緩和,症状に応じた薬物療法を行う.ある程度の有効性がある.

◆病態と診断

A病態

・IC/BPSの病因・病態は不明であるが,尿路上皮機能不全,リンパ球・肥満細胞の活性化,免疫性炎症,神経原性炎症,侵害刺激受容機構の異常亢進,尿中毒性物質,微生物感染などが考えられる.

・IC(HIC)ではハンナ病変のみならず,非ハンナ病変部の粘膜にも炎症細胞浸潤と上皮剥離が観察されるが,BPSでは上皮下間質での有意な炎症所見がないことが多く,上皮も保たれているなど,病態が大きく異なることが示唆されている.

・BPSの原因はheterogeneousと考えられる.麻酔下膀胱水圧拡張時に,拡張後排水により点状出血がみられることがあるが,診断的意義は明らかでない.

B診断

・IC/BPSは「膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い,膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼

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