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◆病態と診断
A病態
・前立腺炎は米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)分類によって4つのカテゴリーに分けられている.
1)カテゴリーⅠ:急性細菌性前立腺炎:大腸菌を主とした細菌による前立腺の感染症で,急性症状を伴う.
2)カテゴリーⅡ:慢性細菌性前立腺炎:種類が同じ細菌が持続的に前立腺に感染している状態である.
3)カテゴリーⅢ:慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS:chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome):排尿痛・会陰部痛,頻尿・排尿困難などの下部尿路症状や射精痛などを伴う.
・カテゴリーⅢa:マッサージ後尿に白血球が認められるが,それを培養しても陰性である.
・カテゴリーⅢb:マッサージ後尿に白血球を認めない.
4)カテゴリーⅣ:無症候性炎症性前立腺炎:前立腺生検の標本で,組織内に炎症細胞の浸潤を認めるか,精液中に白血球を認める状態.治療対象にはならない.
B診断
1.急性細菌性前立腺炎
・発症年齢は,20~40歳の活動性の高い年齢と60歳以降の2峰性に分布する.前者は避妊具なしでの性行為といった性感染症として発症するもので,後者では前立腺肥大症・神経因性膀胱などの基礎疾患がリスク因子となっていることが多い.
・既往歴として上記疾患以外に,経尿道的操作がなかったかどうかなどを丁寧に聞き出す.
・頻尿・残尿感・排尿困難・排尿痛などの局所症状に加え,発熱・悪寒・筋肉痛・倦怠感など菌血症や敗血症に伴う全身性症状も呈することがよくある.
・検尿沈渣では細菌尿と膿尿を認め,血液生化学的検査では炎症反応の上昇を認める.
・抗菌薬投与前に,尿培養・血液培養を提出して起炎菌を同定しておくことが非常に重要である.
・直腸診により多くの症例で圧痛を伴う腫脹した前立腺を認めるが,
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