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GL小児先天性水腎症(腎盂尿管移行部通過障害以外)診療手引き2019
ニュートピックス
・腹腔鏡下上腎所属尿管結紮術が報告されている(保険未承認).
治療のポイント
・ほとんどの異所性尿管(EU:ectopic ureter)は腎摘出術を行う.
・異所性尿管瘤(EUC:ectopic ureterocele)は胎児診断あるいは有熱性尿路感染症(fUTI:febrile urinary tract infection)の精査で発見され,膀胱尿管逆流症(VUR)の合併,腎機能などから症例に応じた治療選択を行う.
Ⅰ.異所性尿管(EU)
◆病態と診断
A病態
・EUは尿管が膀胱の正常位置より尾側に開口する状態である.
・単一腎盂尿管(SS:single system),重複腎盂尿管(DS:duplex system)に伴うEUがあり,本邦はSSのEUが多い.
・男性のEUでは尿失禁は生じないが,女性の外尿道括約筋を経由しないEUは尿失禁が生じるので,多くは女児の尿失禁の精査で発見される.
・開口部位は腟前庭,腟などである.
B診断
・視診:外陰部の開口部位を確認し,同定可能な場合は造影検査を行う.
・超音波検査:典型的なSSのEUは健側腎が代償性に肥大し,患側腎は小腎あるいは同定不能である.EUがUCのように見えるpseudo-ureteroceleがある.
・排尿時膀胱尿道造影・腟造影:VURなどの合併疾患を確認する.腟造影でEUが造影される場合がある.
・核医学検査:腎機能評価のために必須で,99mTc-DMSA腎シンチグラフィ(以下腎シンチ)または99mTc-DTPAあるいはMAG3利尿レノグラフィを行う.DSの場合は上腎・下腎分腎機能を診断する.
・CT,MRI:造影CTは腎シンチよりも所属腎の同定に有用である.MRIは幼小児では鎮静を必要とし,所属腎同定の診断能は低いが,被曝の危険性がな