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GL陰茎癌診療ガイドライン2021年版
治療のポイント
・陰茎腫瘍の良性,悪性の鑑別を視診で見極める.
・尖圭コンジローマは5類感染症の性感染症(STD:sexually transmitted disease)であることを理解し治療と予防が重要である.
Ⅰ.陰茎腫瘍
◆病態と診断
A病態
・陰茎腫瘍とは,陰茎にできる腫瘍のすべてを指し,悪性腫瘍と良性腫瘍がある.
・希少癌である陰茎癌は,扁平上皮癌が主たる組織型である(ほかに肉腫,悪性黒色腫,基底細胞癌,乳房外パジェット病,悪性リンパ腫など).危険因子として,包茎,高リスクヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)16,18型感染が重要である.好発年齢は50~70歳で,高齢者に多い.
B診断
・陰茎癌は,亀頭,包皮に多く,次いで亀頭+包皮,冠状溝の順で,陰茎幹部からの発生はまれ.外性器に発生するため,視診で認識できる.包皮に覆われた部位は,包皮を反転して観察する.出血や陰茎の変形,外尿道口の狭窄,悪臭を伴うことがある.陰茎腫瘍生検が,確定診断に有用.扁平上皮癌はHPV感染関連と非関連に大別される.
◆治療方針
A専門医へのコンサルト
陰茎癌は,泌尿器科専門医への紹介が必要である.外科的治療(陰茎切断,リンパ節郭清),化学療法など集学的治療が必要である.
Ⅱ.尖圭コンジローマ
◆病態と診断
A病態
・良性腫瘍である尖形コンジローマ(condyloma acuminatum)は,HPV-6,11型が主たる原因となるウイルス性性感染症(5類感染症)である.患者の大部分は性活動の活発な年代にみられるが,まれに両親や医療従事者の手指を介して,幼児や兄弟間に感染する.
B診断
・尖形コンジローマは,淡紅色または褐色調の乳頭状,鶏冠状,またはカリフラワー状の特徴的病変を陰茎の亀頭部,冠状溝,包皮内外板,陰嚢に認める.自覚症
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