診療支援
治療

皮膚科疾患 最近の動向
阿部理一郎
(新潟大学大学院教授・皮膚科学)

◆病態と診断

A皮膚エリテマトーデスに対する評価法

 2019年に日本リウマチ学会より発表された「全身性エリテマトーデス(SLE)の診療ガイドライン」では,皮膚エリテマトーデスに対する評価法としてのCLASI(Cutaneous Lupus Erythematosus Disease Area and Severity Index)の有用性が示された.急性期の指標である活動性スコアと慢性期の指標である慢性病変スコアに分けて評価することができ,的確な皮疹の病勢把握に有用である.

B薬剤性過敏症症候群の重症度スコア

 重症薬疹である薬剤性過敏症症候群は自然軽快する軽症例から,致死的合併症を発症する重症例まで幅広い症状を呈す.そのため急性期,回復期の重症度を評価することはきわめて重要である.2018年,薬剤性過敏症症候群の重症度スコア(DDS:DIHS/DRESS severityスコア)が提唱された().特に致死的合併症のサイトメガロウイルス(CMV)再活性化と相関するもので,スコアが1未満の場合はステロイド不要,4以上の場合は重症例としてプレドニゾロン50mg/日以上を推奨している.今後,このスコアを用いた治療選択を行うことで予後の改善が期待される.

◆治療

Aアトピー性皮膚炎の新規製剤

 ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるデルゴシチニブ(コレクチム)軟膏とJAK阻害薬の内服薬であるバリシチニブ(オルミエント),ウパダシチニブ(リンヴォック),アブロシチニブ(サイバインコ)が登場し,治療選択肢が増えた.さらに抗IL-31抗体であるネモリズマブ(ミチーガ)やホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬の外用薬であるジファミラスト(モイゼルト)なども加わり,既存の治療薬で効果が得られなかったアトピー性皮膚炎患者の治療選択肢が増えた.今後,病態による薬剤選択が行われていくことが予想される.

B遺伝

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