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GL皮脂欠乏症診療の手引き 2021
ニュートピックス
・皮脂欠乏症の診断をする際,肉眼では評価が難しい色素沈着や毛細血管の形態変化もダーモスコピーを用いて評価できる.肉眼所見やダーモスコピー所見に基づいて診断し,医療用保湿剤の適正使用を行うべきである.
治療のポイント
・皮膚の乾燥を生じうる基礎疾患を考慮し,原疾患の治療とともに,皮脂欠乏症および皮脂欠乏性湿疹の治療を行う.
・Overall dry skin score(ODSスコア)で重症度を判断し,治療介入後スコアが軽快することを確認する.
◆病態と診断
A病態
・正常な皮膚は,角層細胞間脂質や天然保湿成分による水分保持能と皮脂や基礎発汗により,乾燥しないように守られている.生理的な要因や環境中の湿度の低下などにより角層水分量が低下すると,皮表に亀裂や鱗屑が生じるようになる.この状態を皮脂欠乏症という.
・角層のバリア機能が低下することで,抗原曝露が亢進すると同時にかゆみが亢進する.
B診断
・皮膚の乾燥は,角層水分計を用いて角層水分量の低下を測ることで診断できるが,保険適用のない検査のため一般化されていない.
・皮膚が乾燥し,皮表に鱗屑が付着し,淡い紅斑が出現する.
・重症例では,鱗屑を付す紅斑に角層の伸展性の低下が伴い皮表に亀裂が生じ,瘙痒があるため,掻破痕を伴うことで診断する.重症度は,皮表の鱗屑の大きさ,紅斑の程度,亀裂の有無の程度によりODSスコアで評価する.
・補助診断として,ダーモスコピーを用いて,鱗屑や毛細血管の状態を観察することもできる.
◆治療方針
重症例(ODSスコア3~4)には,医療用保湿剤を使用する.保湿剤は,エモリエントとモイスチャライザーに分類される.基礎疾患がなく,環境因子により症状が一過性に生じている症例で,症状が軽快(ODSスコア1~0)したら,一般用医薬品,医薬部外品や化粧品の保湿剤に変更してい