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治療のポイント
・再燃・再発の多い疾患であるため,治療の継続の必要性と皮膚の清潔を含めた正しいスキンケアを十分説明する.
・抗真菌薬であるケトコナゾール外用薬が治療の主軸となる.
・かゆみが強い場合や紅斑などの炎症所見がみられる場合にはステロイド外用薬の使用を考慮する.
・抗真菌薬含有シャンプーや石鹸を試してみるのもよい.
◆病態と診断
A病態
1.乳児脂漏性皮膚炎
・生後1か月後頃から被髪頭部,前額部,眉毛部,鼻周囲,間擦部に黄色調の厚い痂皮(乳痂)・鱗屑に覆われる紅斑局面,紅色丘疹の集簇がみられる.
・多くは1歳頃までに軽快する.
・皮脂の分泌亢進が関連するとされている.
2.成人期脂漏性皮膚炎
・被髪頭部,髪際部,顔面(眉毛部,鼻翼部,鼻唇溝部),耳介後部,外耳,前胸部(胸骨部),上背部,腋窩,臍周囲,鼠径部,陰股部などの脂漏部位・間擦部に粃糠様ないし油性の鱗屑を伴う境界明瞭な淡黄色紅斑が対称性に生じる.
・初期には毛包性に紅斑,丘疹がみられる.瘙痒は欠くか,あっても軽度である.
・皮脂腺の発達に加え,常在菌真菌・好脂菌であるマラセチアの関与が考えられている.
3.ふけ症
・紅斑がはっきりしない脂漏性皮膚炎の軽症型や先行病変とされる.
B診断
・脂漏部位・間擦部に生じる粃糠様ないし油性の鱗屑・落屑を伴う紅斑.間擦部では湿潤傾向を伴うことがある.
・真菌検鏡を行い白癬などの真菌症を除外する.
・尋常性乾癬,接触皮膚炎,アトピー性皮膚炎,体部白癬,酒皶様皮膚炎,ジベル薔薇色粃糠疹,類乾癬などを鑑別する.
・成人では,HIV感染症やパーキンソン病,ビタミンB群欠乏症に伴うことがある.
◆治療方針
A薬物療法の基本
基本的に外用薬を中心に治療する.瘙痒が強い場合には抗ヒスタミン薬内服を併用する.ビタミンB群の内服を行うこともある.
1.外用
外用はケトコナゾール外用薬が望ましいが,かゆみや炎症があり即効性のあ
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