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◆病態と診断
A病態
・反復する寒冷刺激への曝露により,末梢血管の収縮・うっ血を呈し,炎症をきたした状態.
・平均気温4~5℃,日較差10℃以上で発症しやすいとされ,初冬や晩冬に好発する.
B診断
・四肢末端や耳介・鼻部に瘙痒を伴う浮腫性の鮮紅色~紫紅色斑を呈する.
・時に水疱やびらんを呈することもあるが,通常,瘢痕を残すことはない.
◆治療方針
第一に寒冷刺激を避けるよう生活指導を行うことが重要である.薬物療法としては外用薬に加え,重症度に応じて内服薬の使用も考慮する.循環改善薬だけでなく,炎症や瘙痒に対する治療薬も症状の緩和に有用である.
A軽症
手袋や靴下,イヤーマフなどを用いて適切な保温を行うことで寒冷刺激への曝露回避を心がける.カイロの使用も保温に効果的である.
Px処方例 下記を併用する.
B中等症以上
Px処方例 1),2)あるいは3)のいずれかに4)~6)のいずれかを併用する.
1)ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド薬)軟膏 1日2回 顔・耳に塗布
2)ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロン-V薬)軟膏 1日2回 手・足に塗布
3)アルプロスタジルアルファデクス(プロスタンディン薬)軟膏 1日2回 患部に塗布
4)トコフェロール酢酸エステル(ユベラ薬)錠(50mg) 1回2錠 1日3回 毎食後
5)当帰四逆加呉茱萸生姜湯薬エキス顆粒 1回2.5g(製剤量として) 1日3回 食前または食間保外
6)リマプロスト(オパルモン薬)錠(5μg) 1回1~2錠 1日3回 毎食後保外
■専門医へのコンサルト
・夏季まで症状が遷延する場合や,冬季以外に発症する場合では,全身性エリテマトーデスや強皮症,シェーグレン症候群といった膠原病の部分症状である可能性が懸念されるため,