診療支援
治療

重症薬疹
severe drug eruption
渡辺秀晃
(昭和大学横浜市北部病院教授・皮膚科)

頻度 あまりみない

GL重症多形滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症診療ガイドライン(2016)

ニュートピックス

・スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS:Stevens-Johnson syndrome),中毒性表皮壊死症(TEN:toxic epidermal necrolysis,ライエル症候群)において,経過中に敗血症をきたすと死亡率が高くなること,患者が基礎疾患の治療などでステロイド投与中である場合に死亡率が高いことが示唆された.

治療のポイント

・臨床症状・血液学的検査・皮膚生検所見などから発症早期に正確な診断を行うことが正しい治療につながることを理解する.

・薬疹が疑われ,高熱,粘膜症状が高度な場合,臓器障害,食欲の低下などがみられた場合は,直ちに皮膚科専門医に紹介し入院治療を含む適切な治療を行う.

・SJS/TENと確定診断された症例では,発症初期に感染症や糖尿病などの合併症に留意しながらステロイドパルス療法・ステロイド高用量全身投与などを考慮する.薬剤性過敏症症候群(DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome)では病勢に合わせたステロイド全身療法を行う.

◆病態と診断

A病態

・重症型薬疹は,生命予後を脅かす薬疹・重篤な後遺症をもたらす薬疹・粘膜や内臓にも病変が及ぶ薬疹・入院治療が必要な程度の薬疹,などと定義される.そのなかでもSJS/TEN,DIHSは生命予後が悪く,合併症・後遺症をきたすこともある.本項ではこれらを中心に解説する.

・SJS/TENは同一スペクトラム上の疾患であり,皮膚・粘膜部に表皮(粘膜上皮)の壊死がみられる.合併症として呼吸器障害,肝障害,腎障害があり,SJSの予後は4%,TENの死亡率は30%と高率である.

・SJS/TENはある一定の human leukocyte antige

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