診療支援
治療

光線過敏症
photosensitive disorders
山崎文和
(東海大学准教授・皮膚科学)

頻度 ときどきみる

ニュートピックス

・多くの癌に対する免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬にて光線過敏症が生じることが判明し,それらの症例では治療反応性がよいことが指摘されている.

治療のポイント

・内因性か外因性かを鑑別する必要がある.

・小児例は色素性乾皮症,骨髄性プロトポルフィリン症で重篤な症状をきたす可能性があるので,見逃さないように注意が必要である.

・外用貼付薬などで生じる光接触性皮膚炎は貼付部位と一致した皮疹が生じるが,貼付していた時期から数週間以上遅れて症状が生じることがある.

・近年,癌の治療薬にて光線過敏症が生じる例で治療効果や予後がよいことが報告されており,皮膚科での診断・継続の判断が重要視されている.

・原疾患の発症には光線は必須ではないが,光線に曝露すると増悪,誘発される疾患がある.

◆病態と診断

A病態

・日光照射で誰にでも生じる日焼けと異なり,日光照射に病的要因が介在,一部の個体のみに病的反応が生じる場合を光線過敏症という.

・病因は一様でなく症状も多彩である.要因としては内因性と外因性に分かれ,前者には遺伝的(色素性乾皮症),代謝・酵素異常(ポルフィリン症),栄養障害(ペラグラ),免疫異常(日光じん麻疹,多形日光疹,慢性光線性皮膚炎,種痘様水疱症)などが,後者には薬剤,化学物質によるものがある.に光線過敏症を引き起こしうる主な薬剤を示す.

・厳密な光線過敏症ではないが,全身性エリテマトーデスなど自己免疫疾患や代謝疾患は光線曝露により増悪する.

B診断

・皮膚の症状としてはじん麻疹,湿疹,浮腫性紅斑などさまざまな臨床症状が露光部位に生じる.

・光線テスト:皮疹と同じ症状を紫外線照射で誘発し光線過敏症を確定する.使用する光源の波長はUVA,UVB,可視光線である.外因性の薬剤性光線過敏症の責任波長はUVAであることが多い.

・皮膚ポルフィリン症はポルフィリンの代謝経路の酵素

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?