診療支援
治療

掌蹠膿疱症
palmoplantar pustulosis(PPP)
伊藤明子
(ながたクリニック・副院長(新潟))

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GL掌蹠膿疱症診療の手引き2022

GL掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き2022

ニュートピックス

・2022年に,日本皮膚科学会より「掌蹠膿疱症診療の手引き2022」が,また日本脊椎関節炎学会より「掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き2022」が公表された.

治療のポイント

・手足の皮疹や関節痛は患者のQOLを著しく低下させるため,積極的に悪化要因を探して取り除く.

・悪化要因として病巣感染(主に歯性病巣,扁桃病巣),喫煙,金属アレルギーがあげられる.

・悪化要因の検索・除去と並行して,皮疹に対しては外用薬や紫外線照射による対症治療を行う.

◆病態と診断

A病態

・歯性病巣や扁桃病巣などの病巣感染喫煙金属アレルギーが悪化要因となる.

・膿疱内にマイクロバイオームが存在する可能性や,歯周病や喫煙が掌蹠膿疱症の口腔マイクロバイオームを変化させることが示唆されている.

・掌蹠膿疱症患者では扁桃の常在菌であるα-レンサ球菌に対する免疫寛容の破綻が病態に関与すると考えられている.

・タバコ中のニコチンやタールに含まれるベンゾピリンが炎症性サイトカインを産生する.

・食事や歯科金属中のニッケルやコバルトなどの金属アレルギーが関連する症例がある.

B診断

・次の①~③を診断のための主要項目とする.①手掌と足底,あるいはそのいずれかの部位に新旧の無菌性膿疱を多発する,②病変を繰り返し,慢性の経過を辿る,③乾癬,接触皮膚炎,汗疱・異汗性湿疹,手・足白癬,好酸球性膿疱性毛包炎や菌状息肉症を除外できる.

・爪病変や掌蹠外皮疹,前胸壁の疼痛をはじめとする骨関節症状を伴うことがある.

◆治療方針

A重症度にかかわらず,原則として全例に対する治療方針

 扁桃病巣,歯性病巣,喫煙,金属アレルギーなどの悪化要因について説明し,喫煙者には禁煙を指導する.また,治療を要する歯性病巣の有無について歯科に口腔内精査を依頼する.

 歯科の精

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