診療支援
治療

単純疱疹
herpes simplex
川村龍吉
(山梨大学大学院教授・皮膚科学)

頻度 よくみる

治療のポイント

・抗ウイルス薬の早期内服が基本である.

・初期症状を正確に判断できる口唇ヘルペス・性器ヘルペス患者がPIT(patient initiated therapy)の適応となる.

・年6回以上再発を繰り返す性器ヘルペス患者では再発抑制療法が行われる.

・初発例やカポジ水痘様発疹症などの重症患者では,入院のうえ抗ウイルス薬の点滴静注も考慮する.

◆病態と診断

A病態

・初感染:単純ヘルペスウイルス(HSV)1型/2型が皮膚・粘膜などから侵入し,三叉神経節または腰仙髄神経節に逆行して潜伏感染する(約90%は不顕性感染).

・再発型:潜伏感染したHSVは,感冒,紫外線被曝,疲労などのさまざまなストレスや免疫抑制を契機として再活性化し,神経節から知覚神経軸索を順行して口唇や性器の皮膚・粘膜で増殖する(回帰発症).

・臨床症状:粘膜と皮膚の境界部に好発し,前駆症状としてピリピリした違和感・疼痛が出現したあと,口囲や外陰部に紅暈を伴う小水疱が集簇性または孤立性に認められる.

B診断

・診断は臨床症状より比較的容易であるが,診断が困難な場合はHSV抗原検査(イムノクロマト法,蛍光抗体法)やツァンク試験などを適宜行う.

◆治療方針

 できるだけ早く抗ウイルス薬を内服する必要があるため,再発型にはPITがきわめて有効である.腎機能障害患者に抗ウイルス薬を投与する場合はクレアチニンクリアランスによって投与量を調整する.

A口唇ヘルペス,性器ヘルペス

Px処方例 原則として1)~4)のいずれかを用いた内服療法を行うが,症状がごく軽微な場合のみ5)または6)の外用療法で経過をみる.

1)ファムシクロビル(ファムビル)錠(250mg) 1回4錠 1日2回 1日間(PIT;1回目は初期症状発現から6時間以内に食事に関係なく内服,2回目は1回目から6~18時間空けて内服).再発頻度が年間おおむね3回以上

2)

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