頻度 よくみる(急性膿皮症)
頻度 ときどきみる(慢性膿皮症)
GL化膿性汗腺炎診療の手引き 2020
治療のポイント
・急性膿皮症:膿皮症は元来,皮膚の化膿性病変であり,壊疽性膿皮症など必ずしも細菌感染症ではない疾患に対してこの語が用いられることがある.しかし一般的に,膿皮症と総括してよぶ場合には,ブドウ球菌,A群レンサ球菌を中心とする一般細菌による皮膚感染症であり,急性膿皮症の治療はこれらの菌を念頭に抗菌薬を選択することになる.
・慢性膿皮症(化膿性汗腺炎):本邦ではこれまで化膿性汗腺炎が慢性膿皮症と呼称されてきた.腋窩・殿部・鼠径部などの間擦部を中心に炎症性結節や嚢腫,排膿,瘢痕,瘻孔を繰り返す難治性皮膚疾患である.本疾患はこれまでアポクリン汗腺を主座とする細菌感染症と考えられていたが,現在は毛包を主座とする自己炎症性疾患と考えられている.これまで抗菌薬の内服と外用,外科的治療が行われていたが,2019年に抗TNF-α製剤アダリムマブが本症に適応となり,集学的治療が行えるようになった.
◆病態と診断
A急性膿皮症
・感染部位から急性表在性膿皮症と急性深在性膿皮症に分けられ,原因菌の感染経路〔皮膚あるいは皮膚付属器(毛包,汗腺)〕から以下に分類される.
1.急性表在性膿皮症
・病変の主体が表皮内にとどまる感染症である.
a.毛包炎
・主に黄色ブドウ球菌などによる毛包入口部~漏斗部の感染であり,単発または多発する.毛包一致性の膿疱を形成し,紅暈を伴う.
b.化膿性汗孔周囲炎
・あせもが誘因となり,エクリン汗孔入口部に黄色ブドウ球菌が感染し,有痛性の浅在性膿疱や紅色丘疹を生じる.頭,額,鼻背,背,殿部に好発し新生児や乳幼児に多い.
c.伝染性膿痂疹
・黄色ブドウ球菌による水疱性膿痂疹と,主としてA群レンサ球菌による痂皮性膿痂疹がある.
・水疱性膿痂疹は黄色ブドウ球菌の産生する表皮剥奪毒素により表皮上層の細胞
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