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治療のポイント
・壊死性筋膜炎,ガス壊疽などの重症軟部組織感染症との鑑別が重要である.
・軽症例では抗菌薬内服で対応可能である一方,免疫不全などの背景を有する例や重症例では抗菌薬の点滴投与も考慮する.
◆病態と診断
A病態
・蜂窩織炎は主に真皮から皮下脂肪組織まで感染が及んだ状態で,丹毒は真皮を中心としたものである.
・蜂窩織炎は主に黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌,丹毒は溶血性レンサ球菌が起因菌となることが多い.
・代表的な誘因に,外傷,うっ滞に伴う浮腫,足白癬などがある.
・免疫不全者などでは非典型的な菌が原因となりうる.
B診断
・丹毒は,主に顔面・頭部に発症し,比較的境界明瞭で熱感,圧痛を伴い,浸潤を触れる紅色局面を呈する.多くは片側性であるが,顔面では時に両側性となる.
・蜂窩織炎は四肢に生じることが多く,境界不明瞭な発赤,腫脹,熱感,圧痛を伴う.
・白血球増加,CRP上昇,溶血性レンサ球菌感染の場合ASO上昇を認める.
◆治療方針
緊急的治療を要する壊死性筋膜炎やガス壊疽を鑑別し,敗血症の合併も確認する.病変部に排膿を認める場合は細菌培養を提出するとともに,必要に応じドレナージを行う.原因菌として黄色ブドウ球菌,溶血性レンサ球菌が多く,セフェム系,ペニシリン系の抗菌薬の投与を行う.まれに,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA:methicillin-resistant Staphylococcus aureus)や大腸菌,緑膿菌などが原因菌であることがあり,開始後3~4日で治療効果に乏しい場合は抗菌薬の変更を検討する.局所は安静とし,下肢の場合は挙上する.冷却も有効である.
A軽症例
Px処方例 下記のいずれかを用いる.