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GL日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019
ニュートピックス
・抗真菌薬であるテルビナフィンに耐性を示す白癬菌が皮膚糸状菌症患者より分離されることが明らかとなった.テルビナフィンによる治療に反応しない皮膚糸状菌症では,耐性真菌が原因である可能性を念頭において対処する.
治療のポイント
・皮膚糸状菌症(白癬)は皮膚症状のみでは確定診断は不可能である.正確な診断にはKOH(水酸化カリウム)を用いた直接鏡検や真菌培養検査が必要不可欠である.
・抗真菌薬による治療は,皮膚糸状菌症の確定診断がついてから行うことが重要である.
・皮膚糸状菌症は抗真菌薬を外用することで治療可能であるが,爪白癬,頭部白癬など一部の病型では抗真菌薬の内服が必要となる.
・外用抗真菌薬は安全性が高いが,時に接触皮膚炎を発症することがあるので,外用部位を注意深く観察する.
・抗真菌薬の内服によって肝機能障害が出現することがあるので,投与中は定期的な血液検査を施行する.
◆病態と診断
A病態
・皮膚糸状菌症(白癬)は,主として皮膚の角質に感染する白癬菌(皮膚糸状菌)による表在性の真菌感染症である.
・俗称として足白癬は「みずむし」,股部白癬は「いんきんたむし」,体部白癬は「たむし」もしくは「ぜにたむし」,頭部白癬は「しらくも」という病名が使用されている.
・皮膚糸状菌症(白癬)は皮膚科外来患者の12%を占めるcommon diseaseであるが,潜在的な患者数はさらに多く,日本人では5人に1人は足白癬,10人に1人は爪白癬に罹患していると推計されている.
・皮膚糸状菌症(白癬)を引き起こす主要な皮膚糸状菌はTrichophyton rubrum,Trichophyton interdigitaleである.柔道,レスリングなどの格闘技の選手に発症する頭部白癬,体部白癬はTrichophyton tonsuransが原因