診療支援
治療

疥癬,アタマジラミ症
scabies and pediculosis capitis
石井則久
(国立療養所多磨全生園・名誉園長(東京))

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Ⅰ.疥癬

GL疥癬診療ガイドライン(第3版)(2015)

GL疥癬診療ガイドライン 第3版追補(2018)

治療のポイント

・疥癬トンネルや痂皮などからヒゼンダニを検出し,臨床と合わせて通常疥癬か角化型疥癬かを区別し,外用/内服を行う.

◆病態と診断

A病態

・疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生して発生する皮膚疾患である.多彩な皮疹のため湿疹などと誤診されやすい.

・臨床症状から通常疥癬と角化型疥癬に大別される.

・通常疥癬では強い瘙痒とともに疥癬トンネル,結節,紅色丘疹などが認められる.

・角化型疥癬は多数のヒゼンダニが感染した重症型の疥癬で,厚く牡蛎殻様に堆積した角質増殖が認められる.

B診断

・疥癬の診断は,①臨床症状,②ヒゼンダニ検出,③疫学的流行状況,の3項目を勘案する.

・ヒゼンダニ検出方法として,皮疹部皮膚の顕微鏡検査と,ダーモスコピー検査がある.

◆治療方針

 外用薬と内服薬がある.クロタミトン(オイラックス)クリームも使用可能だが,接触皮膚炎やメトヘモグロビン血症などを起こすことがあり,慎重に用いる.

Px処方例 通常疥癬では外用薬〔下記1)〕か内服薬〔下記2)〕のいずれかを使用する.角化型疥癬では外用薬あるいは内服薬の単独治療も行われるが,下記1)と2)の併用治療で早期治癒を目指す.投与順序は決まっていないが,外用を日中に行い,眠前に内服を行う方法がある.

1)フェノトリン(スミスリン)ローション 1回1本(30g) 頸部以下の皮疹のない部位を含め全身に塗布(耳後部,指間,外陰部,殿部なども.小児・高齢者では顔面・頭部を含め全身).塗布12時間以降にシャワーなどで洗浄.1週間間隔で少なくとも2回

2)イベルメクチン(ストロメクトール)錠(3mg) 1回200μg/kg(60kgの場合は4錠) 空腹時.1週間後,ヒゼンダニを検出するか疥癬に特徴的な皮疹を認める場合は再度

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