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GL血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2022年改訂版
ニュートピックス
・難治性のリンパ管奇形に対して,mTOR阻害薬であるシロリムス内服薬の適応追加が承認され,治療選択肢が増えた.
治療のポイント
・一般に自覚症状には乏しく経過観察可能なこともあるが,機能的・整容的に問題になる場合は治療介入を検討する.
・治療介入する場合,一般に浅い病変では各種パルス色素レーザー治療,深在性の病変では外科的切除や血管内治療が主体となるが,乳児血管腫やリンパ管奇形では薬物療法が可能である.
◆病態と診断
A病態
・皮膚や軟部組織において広義の「血管腫」とよばれる病変は,ISSVA(International Society for the Study of Vascular Anomalies)分類により大きく2つに細分される.すなわち脈管性腫瘍は血管内皮細胞の増殖による腫瘍性病変で,一方脈管形成異常は血管の構造異常・異常拡張が原因であり,一部は原因となる遺伝子異常が同定されている.
・最も多い脈管性腫瘍の1つが乳児血管腫(イチゴ状血管腫)で,生後しばらくして頭頸部を中心に出現する.整容的な問題のみならず,巨大なものは視力障害や呼吸障害をきたすことがある.
・脈管の形成異常は,異常拡張をきたすコンポーネントにより毛細血管奇形,静脈奇形,リンパ管奇形,動静脈奇形に分類される.
・毛細血管奇形は,ポートワイン母斑,単純性血管腫あるいは「赤あざ」など,さまざまな呼称を有する.多くは出生時より存在する平坦な紅色斑である.眉間に生じるサーモンパッチは自然消退傾向を有するが,それ以外は加齢とともに色調が濃くなったり,病変が肥厚することがある.
・静脈奇形は,従来海綿状血管腫とよばれているものを含む.皮下の嚢腫状病変で,周囲の圧迫,あるいは血流うっ滞による血栓・石灰化(いわゆる静脈石)の形成によ