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治療

汗疱,あせも,わきが,多汗症
pompholyx,miliaria,osmidrosis and hyperhidrosis
大嶋雄一郎
(愛知医科大学特任教授・皮膚科学)

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GL原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版

ニュートピックス

・2022年,原発性腋窩多汗症に対する外用抗コリン薬グリコピロニウム(ラピフォートワイプ2.5%)が発売され,治療の選択肢が増えた.

治療のポイント

・汗疱(異汗性湿疹)には尿素・サリチル酸含有外用薬を使用し,炎症が強い場合はステロイド外用薬を併用する.

・あせもは高温多湿を避け,衣類や入浴などの生活指導を行い,炎症やかゆみが強い場合はステロイド外用薬を使用する.

・わきがは腋毛の除毛,制汗剤を使用する.重症例では手術療法も考慮する.

・多汗症は,「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」を参考にして診断および治療する.

Ⅰ.汗疱(異汗性湿疹)

◆病態と診断

A病態

・手指,足趾の側面,腹面に小水疱が急速に多発する.数週間で落屑化して消退するが,再発を繰り返す.時に湿疹化して強いかゆみを伴う.

・夏季に好発し,掌蹠多汗症の人に多くみられる.

・原因の一部に金属アレルギーが関与していることがある.

B診断

・掌蹠膿疱症,手足白癬,疥癬,接触皮膚炎との鑑別が必要となる.

◆治療方針

 手足の蒸れを避ける.角化が水疱を誘発するため,尿素やサリチル酸を含む外用薬を塗布する.湿疹反応が強い異汗性湿疹には,ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏と亜鉛華単軟膏の重層療法を行う.

Px処方例 下記1)または2),湿疹反応が強い異汗性湿疹には3)を用いる.

1)尿素(ウレパール)クリーム 1日数回 適宜塗布保外

2)サリチル酸(サリチル酸ワセリン)軟膏(10%) 1日数回 適宜塗布保外

3)ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート)軟膏+酸化亜鉛(サトウザルベ)軟膏 1日2回 リント布で重層塗布

■専門医へのコンサルト

・金属アレルギーの関与が疑われるときは,皮膚科へコンサルトする.

Ⅱ.あせも(汗疹)

◆病態

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