診療支援
治療

褥瘡
pressure ulcer/injury,decubitus
木庭幸子
(信州大学准教授・皮膚科学)

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GL褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)

GL創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―2:褥瘡診療ガイドライン(2017)

治療のポイント

・危険因子をアセスメントし,予防する.

・予防・ケアの基本は,圧迫や摩擦などの外力を皮膚に加えないことである.

・褥瘡の状態を適宜アセスメントする.

・創の状態に応じて,外用薬,ドレッシング材,外科的治療,物理療法を使い分ける.

◆病態と診断

A病態

・褥瘡は,身体に加わった外力が一定時間持続することによる,皮膚および軟部組織の不可逆的な阻血性障害である.

・加齢や全身状態を背景として,日常生活動作が制限されている患者に生じる.

・臥位や坐位での荷重部や病的骨突出部位に好発する.

B診断

・高齢者や寝たきりの患者の荷重部にみられる皮膚病変から診断する.

・鑑別疾患:末梢動脈疾患,接触皮膚炎,感染症,低温熱傷,化学熱傷.

・創の状態を判定するスケールとして,改訂版のDESIGN-R2020が有用である.深さ滲出液の量大きさ感染や炎症肉芽組織壊死組織ポケット形成の7項目を評価する.

◆治療方針

 予防とケアの両面において,体位交換や耐圧分散用具による除圧ならびに栄養補給が重要である.褥瘡高リスク患者には保湿クリームやシリコンフォームドレッシング材による皮膚保護を日常的に行う.

 急性期と慢性期(浅い褥瘡と深い褥瘡)それぞれに対処する.

 wound bed preparation(創面環境調整)として壊死組織の除去,感染・炎症の制御,過剰な滲出液の制御,創辺縁の管理を行う.浅い褥瘡と深い褥瘡の治療後半ではmoist wound healing(浸潤環境下療法)として適度な湿潤環境の保持が重要である.

A急性期の褥瘡

 不安定な時期にあり,深さの評価が困難である.発生要因の解消に努め,創面を保護する.毎日観察するために,油脂性基剤の軟膏や透明のドレッシング材が

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