A出生前検査に関する新しい動き
出生前検査は,その行為の生命倫理的特性から,常に大きな議論を世の中に巻き起こしてきた.2013年に日本にnon-invasive prenatal test(NIPT:非侵襲性出生前遺伝学的検査)が導入されるに際し,この検査の対象がトリソミー(T)21(ダウン症),18(エドワーズ症候群),13(パトウ症候群)であり,採血だけで検査結果(非確定結果)を得られること,感度・特異度がT21に対して99%を超える精度が高いものであること,妊娠出産に全くかかわらない医師でも可能なこと,などから日本産科婦人科学会(日産婦)が「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」を策定.続いて日本医学会が共同声明を出し,日本医学会が実施施設の登録・認定を行うこととなった.このときから重視されたのは検査前のカウンセリング,すなわち患者への情報提示であった.しかし,その後,