診療支援
治療

無月経と排卵障害
amenorrhea and disorders of ovulation
高橋俊文
(福島県立医科大学・ふくしま子ども・女性医療支援センター長)

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ニュートピックス

・多嚢胞性卵巣症候群の排卵障害に対し,メトホルミンとレトロゾールが保険収載となり治療の選択肢が増えた.

治療のポイント

・排卵障害の障害部位とエストロゲン分泌の程度を評価し,挙児希望の有無により治療方針を決定する.

◆病態と診断

A病態

・無月経とは周期的な月経が発来すべき年齢の女性において一定期間月経がない状態と定義され,妊娠,産褥,閉経などの生理的無月経とそれ以外の病的無月経がある.病的無月経には原発性と続発性があり,原発性無月経は18歳まで月経発来を認めないものであり,続発性無月経はこれまであった月経が3か月以上停止したものである.

B診断

・問診,理学的所見,ホルモン検査などにより,排卵障害の障害部位の特定とエストロゲン分泌の程度を評価する.

1.ゲスターゲン試験

・黄体ホルモンを投与し,消退出血があれば内因性のエストロゲン分泌があり,第1度無月経(WHOタイプⅡ)と判定する.消退出血がない場合は,黄体ホルモンにエストロゲンを併用投与し消退出血があれば,第2度無月経(WHOタイプⅠ)と判定する.

2.排卵障害の障害部位診断

・妊娠による生理的無月経を否定し,卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体化ホルモン(LH),エストラジオール(E2),プロラクチン(PRL),テストステロン(T)を測定し,排卵障害の障害部位を特定する().

◆治療方針

 エストロゲン分泌の程度と挙児希望の有無により治療方針を決定する.

A第1度無月経(WHOタイプⅡ)

 視床下部性無月経,多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:polycystic ovary syndrome)を含む.

1.挙児希望がない場合

 子宮体癌の発生予防(子宮内膜の保護)のため,消退出血または月経周期2~3週目から黄体ホルモン投与を行う(ホルムストローム療法).

Px処方例

 メドロキシプロゲステロン(プロベラ)錠(2.5mg) 1回1

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